病児保育-理想と現実

2024/09/09

 「病気の時くらい親が子どものそばにいるべきだ」という「正論」がある。でも、警察官、教師、医療従事者など、急には休むことのできない職業がある。パートで働いている人は、休めば収入が減るし、休む回数が増えれば仕事そのものを失うこともある。少人数の職場では、休むことで他の人の負担が増え、職場の人間関係を気まずくしてしまうこともある。
 子供が病気なら堂々と休むことができ、社会もそれを容認している国もある。でも、日本の社会はそこまで成熟していない。周りの人に気を使いながら、病気になった我が子のそばについているのが現状だ。病児保育はそうした人たちのニーズから生まれた「必要悪」「鬼っ子」だ。
 休むことができない親に代わって「保育に欠ける子供たち」に、保育士、看護師、栄養士、医師などが「プロフェッショナルのケア」を子供たちに提供する。「病気の時こそ病児保育を」というくらいの意識で、「親にできないケア」をすべく、病児保育に関わっている。日本の社会、ニーズはまだまだ大きい。

神戸市灘区 HK