マイナンバーカードに想う

2023/05/01

 先日、複雑な気持ちを抱きながら、マイナンバーカードを手にしました。マイナンバーカードは甘利さんのけったいな替え歌を伴い衝撃のデビューをしたのですが、その後は鳴かず飛ばずの状態で、マイナンバーカードは記憶の彼方に消えていきました。そして約7年の年月を経て、昨年の春にマイナンバーカードは蘇ったのです。個人を証明できるだけでなく、コンビニで住民票などの公的証明書が取得でき、なんと健康保険証としても利用できるスーパーカードとして蘇りました。そこで、ふと思いました。確かマイナンバーカードの番号は個人情報の中でもトップシークレットで、誰にも知られてはいけないものであったはずではと。しかし、この度蘇ったマイナンバーはある程度は晒される設定のようです。何となく矛盾を感じます。マイナンバーカードは上記の機能だけでなく、個人の医療情報の紐付けをも検討しているみたいです。それによって、今回の新型コロナ感染症の状況にも直ちに対応できるようになるそうです。医療情報を管理できれば、様々なメリットが考えられます。不要な医療(ドクターショッピングなど)や処方の重複を防ぎ、医療費の削減にも繋がるかもしれません。ただ、今回の新型コロナ感染症による厄難のなかで、たまたま思いついただけではなかろうかと穿った見方をしてしまいます。この国の役人は医療の現状に理解が足らないのではないかと思えてしまうからです。新研修医制度は総合医の育成を目指し、作られた制度だと考えます。しかし現場では総合医を受け入れる態勢が整ってなかった為か、若い医師達では総合医を目指す者は少数でした。結局、研修医に自由を与えただけで、若い医師は都会に集中することとなり、地方の医療崩壊を招いただけとなりました。この度、かかりつけ医の制度化は見送られたようです。医療の現状を理解することが出来る要素が何かあったのでしょう。また、横倉義武元日医会長の「医療というのは、それぞれの国の歴史がある」注1という発言が、ようやく理解されたのかもしれません。横倉義武元日医会長は「イギリスの場合はNHS主導で、全部税金でやっていて、社会保険方式でやっている日本とは財政方式が違う」注1とも語っておられました。もっともなご意見かと思います。医療の現場に身を置く私達は、様々な形で(医師連盟を介して、議員を通してとか)意見を中央に届け、理解してもらわねばならないようです。
 注1 二木立:イギリス型のかかりつけ医の登録制・人頭払い制はなぜありえないのか?

(尼崎市 Y)