ミサイル防衛と医療DX

2023/05/01

 日本の弾道ミサイル防衛は、イージス艦からのSM-3と地上からのPAC-3による2段迎撃とされ、弾道ミサイルの発射時の角度とロケットエンジンの燃焼時間などでコースと着弾地点が計算できるとされている。防衛省は4月13日午前、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性のあるものが発射されたと発表し、20分後政府は「北海道に弾道ミサイルが落下するとみられる」とJアラート(全国瞬時警報システム)を発信したが、結果的に誤報であった。政府は誤報ではなく追加情報提供であったとしているが、国民には言葉遊びとしか感じず、政府が言う2段迎撃は実現可能な信頼できるものなのであろうか?
 医療の基盤整備推進のため、政府は医療DX推進本部を設置し、全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DXをすすめるとしている。全国医療情報プラットフォームは、オンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し、レセプト・特定健診等情報のみならず、電子カルテ等の医療全般にわたる情報を共有する仕組みを構築するとのことである。ここで最も懸念されるのはサイバー攻撃等による情報流出への対応である。サイバー攻撃を受けた徳島県の医療機関が出した「コンピュータウイルス感染事案有識者会議調査報告書」にも、アクセル(デジタルトランスフォーメーション)とブレーキ(セキュリティ)は双方が健全に開発され、発展すべきであると書かれている。全国医療情報プラットフォームは政府が主体で進める政策である以上、医療機関へのランサムウエア攻撃等に対する対策や責任は、政府が主体となって負うべきであろう。
 一方、令和5 年3 月10 日に、「医療法施行規則の一部を改正する省令」が発出され、病院、診療所等の管理者が遵守すべき事項として、「医療の提供に著しい支障を及ぼすおそれがないように、サイバーセキュリティを確保するために必要な措置を講じなければならない」との項目が追加された。これは、攻撃被害への対策や責任を、医療機関に押し付けたという事にはならないのか? いわば「ミサイル攻撃に対しては、各家庭で対策と責任をとれ」と言っているに等しい。医療機関にとって、政府への信頼度は低下するばかりである。

加古川H.Y