医療問題の基礎的なこと

2009/05/15

昭和58年保険局長であった吉村仁氏が医療費亡国論を発表しました。その後、日本では一貫して医療費削減を続け、2005年には日本の対GDP比医療費はOECDで27カ国の中で22位まで低下しました。さらに,医師数が増えれば医療費も増えるとの理論で、医師数もむしろ減少させてきました。しかし,高齢化すれば慢性疾患を多く持った老人は増え,医療技術進歩すれば従来救命できなかった人たちも救命でき,より多くの専門家を必要とし、より高度な医療器具も必要になります。

これに対して,政府は医療の質の向上,時代の変化にあった医療を整備するよりも、増大する医療費をいかに押さえるかを主眼とした医療費削減政策をとり続け、現在のような医療崩壊とよばれる状態になりました。 診療報酬が増えず,産科、小児科、救急医療が不採算部門としてまず閉鎖の対象となり、その後他の診療科にも波及し、さらには人件費を削るため、職員の雇用数も抑えられてきました。それにもかかわらず、現在日本の病院の73%特に自治体病院の91%は赤字となっています。

結局、より良い医療にする為には医療費が必要であり、医師のみでなく看護師、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師、栄養士などの人材も必要です。医療関係者の合計の人数は100床あたり、日本は101人に対して、例えばイギリスでは740人、アメリカで504人であり日本は圧倒的に人員不足の状態です。   
医療を再生する為には医療への支出を増やす必要があり、財源が大きな問題になります。それゆえ、保険料を引き上げるのかどうか、消費税引き上げるのかといった問題は今後避けることのできないテーマとなります。

[2009.05.15]
神戸市 A氏