報道の暴力はいい加減にしてほしい

2021/05/01

 東京五輪・パラリンピック(以下東京オリ・パラと略)組織委員会会長森喜朗氏の「女性蔑視」失言による辞任問題。森氏に対して、7年間も無償で会長職をされてきたことに敬意を表し、お疲れさまでしたと労をねぎらいたい。女性蔑視とほぼすべてのマスコミは「森たたき」をした。私個人的には、組織の役員・理事職に女性が少ないことに対する言い訳あるいは謙遜の意味もあったような気もする。ではその報道をした会社の会長から取締役(社外取締役を除く)や理事など役員の構成はどうか。少なくともこの報道がなされた2月時点で調べてみると、A新聞、M新聞(ともに全国紙)はすべて男性。テレビ局はN○○が理事に女性が一人いるだけ。めんどうくさいので他のマスコミは調べてないが似たようなものであろう。報道する側も役員のせめて2~3割ぐらいは女性を入れておくべきではないのか。これでは禁煙外来でタバコを吸いながら患者さんに「タバコはあかんで」と言っているようなものだ(ちょっと違うか)。
 次に東京オリ・パラ開閉会式演出企画チームの佐々木宏氏の辞任問題。1年ぐらい前に芸人のWさんに豚の格好をしてもらう案を、LINEで企画チームに流したとのこと。誰かがそれをマスコミに悪意を込めてチクった(告げ口した)のであろう。そもそも豚あるいは豚キャラが侮辱あるいは蔑視という発想そのものが古いし、そういう固定観念自体がおかしい。豚が主人公のマンガやアニメもあるではないか。私も会議や学会などで議論を活発にしてもらうために、わざとしょうもない質問をしたり間違った意見を述べたりすることがある。それに対して議論がいろいろ出て、自由闊達な討論がなされ盛り上がる。その結果、より良い結論や形を作っていけるのではないのか?私の友人などは「豚はかわいい、豚さんに失礼だ」とまで言っている。私も同感だ。特に芸術的なことは「常識を超えた」発想も必要なわけで、こんなことでトップの首を挿げ替えて喜んでいるようでは面白い企画はできないであろう。
 この原稿を書いている途中、3月20日の東京オリ・パラのIOCなど五者協議(オンライン)で、外国からの一般観客受け入れを断念する方針が伝えられた。新型コロナ感染症拡大とその変異株の影響についても不透明だというのがその理由。せっかくの東京オリ・パラが次第にしょぼいものになりつつある。
ともかくマスコミももう少し国論を一つにまとめ、建設的に盛り上げるような報道をしたらどうかと思う。多少の失言くらい大目に見る「器量」がほしい。自由な発想・発言に対する暴力はやめて欲しい。こんなことで東京オリ・パラはまともな大会になるのだろうか?

(相生市U.N.)