平成31年度税制改正を考える

2019/02/06

 今般、平成31年度税制改正大綱(自由民主党・公明党)が公表され、続いて平成30年12月21日に閣議決定された。日本医師会は「医療に関する税制要望」として厚生労働省をはじめ関係各方面に要望してきた。また三師会・四病院団体協議会(四病協)で「控除対象外消費税問題解消のための新たな税制上の仕組みについての提言―消費税10%への引き上げに向けて―」を公表、さらに「地域医療を支えるための税制改正要望(最重点事項)」をまとめ要望した。結果、以下の解決方法が導かれた。
 1.医療機関における控除対象外消費税の対応については、全額補填、補填率はほぼ100%、診療報酬の基本診療料の配点を精緻化し、実際の補填状況を継続的に検証し、以前5%から8%への引き上げに伴う診療報酬での補填不足を招いた集計ミス(厚生労働省統計に各種不備が指摘されている最中ですが)等のなきよう、必要に応じて見直すこととされ、医療機関種別の補填のばらつきが是正されると見込まれる。
 2.医療機関等の設備投資への支援措置が法人税・所得税に対し行われることになり、医師及び医療従事者の働き方改革促進のための器具備品・ソフトウエアの特別償却、地域医療構想の実現のための病院用等の建物・建物附属設備の特別償却の2つが新たに創設され、従来の医療用機器の特別償却制度については延長・見直しがなされる。
 3.個人事業者の事業継承を促進するため、現行措置の対象である事業用の宅地に加え、事業用の建物及び一定の減価償却資産に係る相続税・贈与税を10%納税猶予する10年間の特例措置が創設された。
 このような税制での各種対応に加え、予算編成での医療ICT化促進基金300億円、地域医療介護総合確保基金(医療分)100億円上乗せなどの対応があり、現時点において全体で医療に係る消費税問題は解決していると、政治および日本医師会の双方が考えているが、我々はこの消費税問題が文字の上あるいはそろばんの上で納得させられ、結局どこかで診療報酬の減点により、今回の補填分を相殺されてしまわないかを注視していく必要がある。

川西市  Y.O