新型コロナワクチン狂騒曲

2021/04/01

 菅首相は新型コロナワクチンの高齢者への接種開始日を具体的に4月12日と発表した。国民を安心させるための政治的判断だと思われるが、発表当時はワクチンの供給予定が明確に決まっていなかった。その後河野ワクチン担当大臣が、6月末での高齢者用ワクチン確保を発表した。どのような契約を製薬会社と交わしたのか詳細は不明ではあるが、かなり足元を見られ、他国と比べ高値での契約のようだ。
 実際のワクチン接種に関しては、優先接種とされている医療従事者は都道府県、その他の国民は市町村が対応するが、当然各地区医師会も深くかかわることになる。
 国民全員が対象の一大事業であるため、各医療機関での個別接種だけでは追いつかず、大規模な集団接種が予定されている。各地区で話し合いが進められているが、いかんせんワクチンの供給予定が不明瞭なまま事業計画を立てるため、なんとも先行き不安な状態だ。
 国はワクチン接種委託費用をかなり安く設定しており、個別接種、集団接種いずれも経費を充分賄えられるとは考え難く、接種に係る人件費に関しては、ほぼボランティアとしての協力要請と受け止められるほどである。また接種を予定通り行うためには通常の診療を大幅に犠牲にして対応しなくてはならず、地域での医療提供体制の劣化が懸念される。
 今回のワクチン接種を管理するために各種の管理システムが用意されており、ワクチン管理、予約管理、接種管理など、いずれのシステムも確認・入力など手間のかかることばかりだ。これらの様々なシステム開発・管理なども多数の民間企業に丸投げしており、マイナンバーカード同様、プライバシー保護の不安が付きまとう。またワクチン事業が滞りなく行われたとしても、未だワクチンの効果持続期間もはっきりしておらず、変異ウイルスへの効果も不明瞭だ。
 診断・治療だけでなく、予防に関しても莫大な国費が消費され続けている。はたして終息宣言はいつになることだろうか。

(伊丹市S.H.)