早急に自民党と政策協定を結ぶ青柳日医副会長

2003/07/12

日本医師会の青柳俊副会長は5日、熊本県医師会第61回定例総会で「医療に求められるもの~医師、医師会の役割~」をテーマに講演した中で、10~11月の衆院解散・総選挙が確実視されている状況を受け、早急に自民党と政策協定を結ぶ意向を明らかにした。

青柳副会長は、小泉内閣は所得の高低に医療の内容が左右される、アメリカ型医療の導入を狙っていると分析し、「セーフティネット」としての社会保障制度が縮小されることを憂慮した。そのうえで、「社会保障は国民がより豊かに生き、暮らし、働くことを支える積極的なシステムでなければならない」との認識を表明。「社会共通資本」と位置づけて、国民の生計と生存を支える国家安全保障の主軸として国が責任をもって、教育、雇用保険、年金(生計の安全保障)、医療(生存の安全保障)の各社会保障制度を整備していくべきだと説いた。

医療については、国民皆保険制度の一層の充実・強化を求めていくことこそが、「日本医師会が国民に果たすべき役割だ」と断言。医療保険の患者自己負担は経済学者らが主張しているような「受益者負担」ではなく、むしろ「受難者負担」であるとし、「2割負担が上限であり、将来的には自己負担をなくすべきだ」と述べた。

医療の提供体制では、画一的な病床区分の見直し、亜急性期病床の位置付け、救急医療システムの見直しとともに、かかりつけ医を中心としたプライマリケア(患者が最初に接する基本的医療)を充実させていく必要性を協調。プライマリケアを基盤にした体制を整えれば、国民や患者のニーズを80%以上満たすことができるとし、来年4月の診療報酬改定ではこの部分に財源を重点配分する必要があるとの考えを示した。

また青柳副会長は、質の高い医療を提供するための課題として
 (1)医師を事務作業から解放して医療に専念してもらえるようlT化を推進する
 (2)医師の生涯教育を一層充実させる
-などをあげた。このうち医師生涯教育については、「極めて個人的な意見」としたうえで、日医による医師免許更新制度を提唱。「一般に医療の品質保証を強調できる第1歩であり、日医が率先して免許更新制度を作るべきだ」と話した。

JPNニュース(7月11日)より