株式会社の医療参入は本当に国民のためか

2003/07/24

医療への株式会社参入をおこなったアメリカは、医療費が増大し、低所得者は保険に入れなくなってしまった。日本はこの誤った道を歩むのか。

これはまさしくそもそも論(前田日医総研研究員)である。

まず医療費が序々に膨大化し、年間30兆円といわれ、1年ずつ約1兆円ずつの増加があり、そこで医療費の抑制案がとりあげられ、その手段として病院経営に株式会社を参入させることにより(他の分野からの刺激により企業努力をさせる)質の向上を目指すことであったが結果的には病院経営者は多くの赤字病院ではリストラを行った。病院の主たるものはマンパワーである。それにもかかわらず、人をけずる手法をとらざるを得なくなった(すでに病院経営者も経営努力をしていることは10年以上前より常識であったが、病院の本質は人そのものであるため、医療現場でのリストラは適応のない人物以外、質を落とすため行わなかった。優秀な看護師、検査士、事務職がいれば、今までで充分にやっていけても1人くらいなら充分に雇うということを行ってきた。医師はもちろんである。それは病院の質をあげるには人であることを充分に分かっていたからである。ところがそれでも人をけずらないといけない状態に追い込まれているのが今の病院経営者である。しかも医療費の削減が一番の問題であるにもかかわらず、現実に株式会社参入をおこなったアメリカは、医療費が増大し、低所得者は保険に入れなくなってしまった。再び日本はこの誤った道を歩むのか。

[ 2003.07.24 ]