物価高騰に直面する医療現場の選択
2026/05/15
2025年の参議院選挙では、医療現場の逼迫を背景に、与野党がそろって診療報酬の引き上げを公約に掲げた。コロナ禍を経て人手不足や過重労働が顕在化し、待遇改善と賃上げは避けて通れない課題とされたからだ。我々も組織内候補の応援に奔走し、なんとか成果を得ることができた。
一方、世界各地で続く戦争はエネルギーや原材料の価格上昇をまねき、輸送コストの増大を通じて日本国内の物価全体を押し上げている。石油を原料とする医療材料不足も、医療現場にさらなる負担を強いることになっている。このインフレの進行は医療機関の運営コストを直撃し、同時に家計も圧迫している。結果として、診療報酬が引き上げられても、その増分が光熱費や人件費の上昇に吸収され、医療機関にとっては「台無し」になりかねない。急激なDX推進も加わり、これ以上の現場負担増は医業継続の可否を左右しかねない。
結局のところ、単発の改定では戦争や円安などの外的要因に対抗するには不十分であることが明らかである。物価変動に応じ機動的に調整できる仕組みや、地域医療を下支えする持続的な財源確保が不可欠である。
(神戸市 N・H)





