神戸市医師連盟 須磨支部
2025/09/05
須磨という地名は、六甲山系の西端、畿内の西すみに位置するため「すみ」がなまって「すま」になったといわれています。南部の板宿を中心とする既成市街地、北部の妙法寺や名谷を中心とする新興市街地などが配置され、名所が点在しています。須磨区は面積約29平方キロメートル、人口約16万人で1994年より衆議院議員総選挙における小選挙区は垂水区とあわせ兵庫県第3区となっています。
第3区の衆議院選では、長く民主党(旧社会党系)の土肥隆一氏が安定した支持を受けて勝ち続けてきた選挙区でありますが、2005年の総選挙では自由民主党の新人関芳弘氏に敗れ、比例復活で当選。2009年の総選挙で関氏は次点となりましたがその後2012年の総選挙では土肥氏が引退し、関氏が返り咲きました。この選挙の結果、民主党は初めて完全に議席を失いました。2014年・2017年の総選挙では関氏が危なげなく当選を重ねており、自民党が優位な選挙区になりつつあります。また、兵庫県自体も2017年の選挙で自民党及び公明党で全議席を独占しており、参院選でも民主党系は2013年・2016年の選挙で現職候補が落選しています。しかし、2021年の総選挙では、日本維新の会の和田有一朗氏が関氏に約9000票差まで詰め、比例復活で初当選を果たしました。2024年の総選挙では関氏が勝利する一方で、国民民主党の向山好一氏と維新の和田氏が比例復活し3名の国会議員を送り出しています。このような歴史背景をもっています。
須磨区医師会では年2回の総会を開催し、これまでも来賓として政権与党の政治家の方がたを懇親会の場で紹介、懇談を行ってきました。ただ3年前の参議院選(組織内候補・自見はなこ氏)の選挙以降からは日本医師会政治連盟の方針に従う形で役員の政治報告会への積極参加、県・市の政治連盟の行事参加を行い、区での年末総会においてはお忙しい中ではありますが、できる限り地域選出の自民党の関議員に中央情勢報告をお願いしているところです。
さて本年7月20日には参議院選挙が行われ日本医師連盟から釜泡敏(かまやちさとし)日医副会長を組織内候補として擁立されています。かまやち氏はスローガンとして「伝える。届ける。」を掲げ、「医療・介護の今の深刻な状況を、正確にかつなるべく幅広い方にお伝えする役割は、組織内候補がまず担うべきでしょう。そのためには、現状をきちんと説明し、理解、納得、同意を得る発信力が重要です。」とのべられています。結果、自民党からは比例区はかまやちさとし氏、兵庫選挙区は加田裕之氏の2名とも日医連盟推薦候補として参議院選挙当選を果たすことができました。
この2年間において日本医師会は組織率の強化と国会議員への医療政策の現状の説明に力点を置いています。背景には2024年度診療報酬改定後の病院経営概況などのデータでは「病院経営は危機的状況にある」と指摘されており、病床利用率は上昇傾向にあるものの、医業利益率や経常利益率が悪化傾向にあることや、医業利益の赤字病院割合が69%、経常利益の赤字病院割合が61%へとそれぞれ増加しており、債務償還年数の分析では、半数の病院が破綻懸念ありと判断される30年を超えている状況とのことです。国会議員への説明、陳情などの働きかけが功を奏したのか「骨太の方針2025」に物価・賃金上昇対応分を加算するという「足し算」の論理が加わった点などは「良い言葉が入った」ものの「まだまだ予断は許さない状況」であり、来年度予算編成作業が本格化する今秋以降の議論が重要になるとの見方を松本日医会長は示されています。
さて選挙は、私たち医療従事者の未来を大きく左右する重要な局面と考えます。 医師連盟の推薦する候補者を上位当選させることは、 私たちの生活基盤である診療報酬を守り医療機関の経営改善へと繋がる極めて重要な一歩となります。医師連盟としては、自分たちにできる支援活動を行うことで、できるだけ多くの皆さまに投票に行っていただくことで’得票へと結びつけられるよう活動しています。皆さま一人ひとりの行動が、私たちの未来を切り拓くことになると信じています。
神戸市医師連盟須磨支部 支部長 小野一広
文責 執行委員 須磨区 寺下一弥
写真:小野連盟支部長(中央)釜泡敏氏(右)加田裕之氏(左)
手提げバッグの中央には日本医科大学の校章