自民党衆議院選重点政策を読んで

2021/12/01

 第49回衆議院総選挙は菅内閣が10月4日に総辞職し、替わって岸田内閣が成立し、内閣支持率が30%から49%に、内閣不支持率が50%から24%に転換したタイミングで実施された。「新しい時代を皆さんとともに。」というキャッチフレーズに岸田文雄総裁の写真を掲載したポスター・公約・政策パンフレットが作成され、4年ぶりの衆議院総選挙に臨むことになった。選挙結果は陣頭指揮を執る甘利明幹事長が落選するなどの大物議員に波乱があった一方で、自民党は選挙前276議席が261議席に減らしたが、過半数233議席を単独で上回り、岸田氏は解散から選挙まで通常より期間をあけずに選挙まで至るスケジュールで党を勝利に導いた。景気の停滞とコロナ危機の初期対応に対する国民の不満が重積した時期に行われた選挙としては、この結果は称賛に値する。
自民党の重点政策を読んでみると、まず8項目から成っていた。
1.感染症から命と暮らしを守る。
2.「新しい資本主義」で分厚い中間層を再構築する。「全世代の安心感」が日本の活力に。
3.国の基「農林水産業」を守り、成長産業に。
4.日本列島の隅々まで、活発な経済活動が行き渡る国へ。
5.経済安全保障を強化する。
6.「毅然とした日本外交の展開」と「国防力」の強化で、日本を守る。
7.「教育」は国家の基本。人材力の強化。安全で安心な国、健康で豊かな地域社会を目指す。
8.日本国憲法の改正を目指す。
 その中で我々医師と関連の強い「1感染症から命と暮らしを守る。」については、誇大な部分はあるが、特別なコメントは必要ない。「2新資本主義」については、総裁選前に訴えた「所得の不平等を狭める」対策が総裁誕生1か月にしてすでに変化している。岸田氏が総裁に選ばれたのは気弱な性格で、有力政治家のアジェンダを投影しやすいからという酷評がある。つまり一部外務省の陰の言葉として漏れ伝わる「岸田氏はお行儀のよいタイプの犬に譬えて、チワワ」と言われるがごとく、選挙前の自民党内派閥や有力議員との協力関係が「3農林水産業」「4建築業界」対策に反映され、自民党のよくある経済政策に逆戻りしたと読むことができる。いずれにしても岸田氏に短命で回転ドアのごとく忘れられていくリーダーの一人になってしまうことなく、印象に残るような政治指導で日本の舵取りをしていただきたい。

(川西市 Y.O)