2024年度診療報酬改定

2024/04/01

 2024年度の診療報酬改定は、医療、介護、障害福祉サービスのトリプル改定となった。今回の診療報酬改定の発端となった出来事として、2023年11月1日財政制度等審議会財政制度分科会が開催され、社会保障費の主要な削減候補として診療報酬の適正化について議論された。財務省は、2020年度から2022年度における診療所の経常利益率が急増しているとの調査結果を公表し、多額の利益剰余金が存在していることを踏まえ、診療所の初診料や再診料などを引き下げるよう求めた。実際にはコロナ禍で一番落ち込みが厳しかった2020年をベースに比較すること自体がおかしく、儲かっているという印象を与える恣意的なものであった。日本医師会が独自に分析した診療所の医業に関する利益率はコロナ特例などのコロナ対応分を除くと3.3%程度となり、コロナ流行前よりも若干悪化している可能性があり、他業種と比較しても診療所の利益率は特段高いものではなく、医師が一人のみであるなど比較的事業規模が小さいことを考えると妥当な利益率であった。日本医師会松本吉郎会長は11月14日、武見敬三厚生労働大臣に要望書を手交し、2024年度診療報酬改定に向け、原資となる適切な財源の確保を求めた。12月15日、岸田総理大臣が武見厚生労働大臣と鈴木財務大臣と協議を行い、12月20日の大臣折衝で2024年度診療報酬改定の改定率が決定した。改定率は、賃上げ対応としてプラス0.61%、入院時の食費対応としてプラス0.06%、一般的な改定分としてプラス0.46%(計プラス1.13%)とした一方、管理料、処方箋料など適正化としてマイナス0.25%とされ、結果として本体改定率はプラス0.88%となった。また、薬価・材料価格改定はマイナス1.00%となり、診療報酬のネットでは0.12%のマイナス改定となった。2024年1月14日姫路市医師会館にて松本吉郎会長講演会が開催された。その中で本体の引き上げ率として財務省はプラス0,25%程度、厚生省はプラス1,5%程度の主張があり結局本体0,88%に落ち着いたと私見を述べられた。管理料などの適正化は本当にマイナス0.25%なのだろうか、本体改定率は本当に0.88%なのだろうか原稿執筆時点では全く先が見えない状況である。松本会長の気苦労を聞かされた身としては歯がゆい気持ちでいっぱいである。

姫路市M.M